アスピリンと胃痛の関係2006年08月31日 15時52分38秒

よく消炎鎮痛剤のCMを見ていると胃にやさしいだのいろんなセールストークがあふれています。
このようなセールストークが成り立つということは基本的には消炎鎮痛剤は胃に悪いということになります。
昨日の講義で、今までわからなかった消炎鎮痛剤と胃の関係がわかったので少しだけ書いてみます。


表題のように講義で出てきたのは"アスピリン”の話。
すでに日本では胃にやさしい他剤に販売・広告がシフトしている関係で、鎮痛消炎剤としての第一線を退いたかのように見えますが世界的には結構使われている薬です。

このアスピリン、胃に悪いと知っていたのですがその理由は知らなかったんです。

この薬は人体中の代表的な炎症・発痛物質であるプロスタグランジンを産生するシクロオキシゲナーゼという酵素を抑制します。
(アスピリンの働きはこれ一つだけではありません・・・ここでは絞ってお話します)
炎症が起きている場合、プロスタグランジンは大量に作られる訳ですが、アスピリンを摂取するとこの産生が少なくなり、これによって鎮痛作用や抗炎症作用を示すわけです。

実はこのプロスタグランジン、胃においては胃酸の分泌を抑制し、粘液の分泌を高めるという別の働きをしています。
つまりは胃の粘膜を保護する作用です。

このためアスピリンを服用した場合、胃の中のプロスタグランジンの濃度も下げてしまい胃酸の分泌が過剰になって胃を悪くすることがあるわけです。
アスピリンだけではありません。
多くの消炎鎮痛作用を持つ薬、つまりシクロオキシゲナーゼに対して働きかけてプロスタグランジンの産生を抑制する薬では多かれ少なかれ同じような問題が発生したりするのです。
しかもよく効く薬であればあるほど、この問題も多く起きやすくなります。

では、どうするのか?
お医者さんで出される薬では、別途胃粘膜を保護するような薬を添付するケースが多いです。
ムコスタ錠などのムコ多糖の錠剤は減少した胃粘液を補うような薬剤です。
胃の荒れるのがひどい場合には胃酸の分泌を下げるような薬剤も使うようです。


こんなことが解っても鍼が上手になるわけではないのですが、個人的には非常に面白かったです。
まあ、消炎鎮痛剤は最も広く使われる薬の一種であり、鍼灸やあんまに通ってくる患者さんの中でも腰痛や膝痛で使っている人は多い薬でもあります。
このため、こういった薬の使用で起きた胃痛などにも出会う可能性はあるわけです。
そういう意味でも薬理学というのは案外大事かもと思ったわけです。



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