詐欺治療家の話2005年09月15日 21時10分42秒

鍼師・灸師・あんまマッサージ指圧師を目指して勉強している自分にとって本当に悲しい事件がありました。
長文になりますが、できれば読んでください。

あんまマッサージ指圧師が「がんが治る」という詐欺を働いたというのもです。

こちら

こちら
をご覧ください。

こういった話題については触れたくもありません。
正直、腹が立つのみであきれて言葉もありません。

まじめに治療をしている治療家やそこに通う患者さんにとって迷惑以外の何者でもないというのが率直な意見でしょう。

でも、せめてもの反面教師として、こうした悪辣な輩にだまされないようにしてほしいという意にもこめて、私の側から意見を言わせていただきます


①ガン(悪性腫瘍)は鍼灸、あんまマッサージ指圧の不適用である
②病院での治療をやめさせる権限は誰にもない
③遠赤外線をあてるだけででガンが直るなら苦労はしない
④大体、西洋医学も含め、どんな治療でも「完全に治る」ということはありえない
⑤価格体系が詐欺目的以外の何者でもない
⑥きちんとした治療家は安易に好転反応という言葉は使わない


詳しく解説していきます。
①ガン(悪性腫瘍)は鍼灸、あんまマッサージ指圧の不適用である
先ず大前提としてこの点が重要なんです。
まっとうな治療院なら患者さんが治療院にいらしてくださった祭に、問診、テスト法等で腫瘍が疑われる場合、すぐに病院での診察をお勧めするはずです。

ご自身がガンとわかっていて、どうしても鍼灸の治療を受けたいとおっしゃる人がいます。
そういう方には直接的なガンへの効果は期待できないとのお話をきちんとした上で治療をする、または主治医の許可をいただいた上で治療をするケースもあるでしょう。
でもこれはあくまでもQOLのための鍼灸です。

私が尊敬できる治療家で「ガンを治す」と声高々に宣伝している人はいません。


②病院での治療をやめさせる権限は誰にもない
ありえません。
国民には正当な医療(この場合は西洋医学)を受ける権利があり、このようなことは、「正当な医療を受ける機会を損失させた」として罪に問われます。


③遠赤外線をあてるだけででガンが直るなら苦労はしない
これにはちょっと語弊があります。
ハイパーサーミア(ガン温熱療法)という治療法は実際にあります。
様々な手法を用いてがん細胞に熱をかけてガン細胞を死滅させると言う治療法です。
中には遠赤外線を用いる発表も行われています。

でも、鍼灸やあんまマッサージ指圧の治療院でハイパーサーミアを用いたがん治療ができるとは思っていません。

ハイパーサーミアによる治療は専門の機械や経験を持った医師の下でないと効果は少ないと思います。
きちんとガンの存在部位を特定し、そこに42℃という熱をしっかりとかけるのはかなり難しいことなのです。
実際、この療法が提唱された当初、追試験を行ったアメリカの病院では技術が未熟で思ったほどの効果がなく、「この治療法は効かない」というレッテルを貼られたこともあったのです。

だから、CTやMRI、PET等の機器できちんとガンの部位を特定した上で熱をコントロールしないと治療としては効果はないと思います。


④大体、西洋医学も含め、どんな治療でも「完全に治る」ということはありえない
いまどき医療の現場でどんな簡単な治療でも「絶対」とか「完全」とか使いません。
この言葉が出てきたら詐欺?と考えましょう。


⑤価格体系が詐欺目的以外の何者でもない
6回から9回の治療で150万円から290万円だそうです。
まともな神経ではありません。

鍼灸やあんまの治療費はどんなに高くても一回当たり1万までではないでしょうか。
もちろん一回にかける時間にも変わるでしょうが、一時間当たり1万円を超えることは無い気がします。


⑥きちんとした治療家は安易に好転反応という言葉は使わない
確かに鍼治療を受けるといったん受けた部位が重だるくなったりします。
また、好転反応的な症状が出ることもあります。
でも「好転反応だから我慢しなさい」とか安易に片付けるのは感心しません。
ひょっとしたら鍼のドーズオーバー(刺激過多)かもしれませんし、自分が選んだ穴のミスの可能性もあるんですから。

この言葉も安易に出てきたら要注意です。



私が前に仕事をしていた健康食品業界にも同じような悪辣な業者がいました。

「飲まないと死ぬ」
「これさえ飲んでいれば大丈夫」
「好転反応ですから」
「抗がん剤なんてとんでもない」
まったく同じような手口です。


どうか、皆さんが良い鍼灸院を選ぶ手助けにでもなればと思い、この記事を書いてみました。
参考になれば幸いです。

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