東洋医学を学ぶということ2005年09月11日 11時04分23秒

学校で学んでいる内容について説明しようかなと思います。

言うまでもありませんが、鍼灸や按摩・指圧というのは東洋医学です。
でも実は学校で習っている授業科目の過半数は西洋医学的または科学的な科目です。

今まで習ってきた東洋医学的な科目は
東洋医学概論・古典鍼灸原書購読・経絡経穴概論・漢方薬概論・中医学概論

西洋医学的または科学的なものとしては
生物学・生理学・解剖学・病理学・臨床学(総論、各論)・衛生学・臨床心理学
などがあります。

どうしてなのかな?と思われるかもしれません。

東洋医学なんだから伝統的なことだけやってればいいじゃないか。
西洋医学的なことはお医者さんに任せればいいんじゃないの?

そう考えたこともありました。
でも今は違うんです。

うまく説明できないのですが、
人を治療しようと考えたら、きちんと人というものを知らねばならないと思うのです。
針を刺すという行為は一歩間違えれば簡単に傷つけることができるものなんです。

だからこそ刺していいのかいけないのか、どこまで刺せるのか刺せないのかをきちんと知る必要があるのです。

もちろん古典にも禁鍼穴、禁灸穴というようなものはあります。
でも解剖学等を学べば、ここは神経が通っているから気をつけようとか、
下に骨があるところの刺すのでも、ここは先天的に骨が薄かったり、穴が開いているケースがあるから気をつけよう、と考えられるのです。

何よりもっとも重要なのが鍼灸適応の判定があります。

東洋医学の得意とする領域、西洋医学の得意とする領域がありますから、患者さんが愁訴を訴えてきたときにどちらなのかを判断する必要があるんです。

だから病理学や臨床医学各論などの勉強で西洋医学的な病気の種類、症状、治療法なども学んでいるんです。


自分がこれまでお会いした鍼灸の先生方で「すごいな」と思える先生がたは患者さんの状態によっては即座に病院に向かわせているそうです。
病院に送ることに抵抗を持っていません。
何より古典的な治療の大家といわれる先生ほど熱心に西洋医学の勉強もされています。

自分が学校に入った当初、ベテランの鍼灸の先生にこういわれたことがあります。
私が「解剖の授業が厳しくて厳しくて大変です」とぼやいたら
先生が「そりゃ大変結構、解剖学は東洋医学でも西洋医学でもベースになる学問なんだから」といわれました。

当時はよく意味がわからなかったのですが、最近少しずつこういうことなのかななどと感じ始めています。


将来治療家になったら、患者さんに西洋医学的な見地、東洋医学的な見地、双方をきちんと説明できるようになりたいな。