自然療法と乳児死亡事件 代替医療について2010年08月21日 15時06分16秒

今日の記事は治療院の記事として書いたものです
まだ完全版ではありませんがこちらにも同じ記事を掲載します
黒砂台鍼灸あん摩治療院の当該記事ページ

治療院のページには追記機能を使用してさらに追加のお話も






livedoor「BLOGOS」で見つけた記事に非常に興味深くかつ鍼・灸・あん摩という代替医療にかかわる人間として考えさせられる記事がありました
これについてずっと考えていたので少しだけ

この記事で言いたいことはホメオパシー療法の糾弾では有りません
代替医療に関わる人間として思うところを素直に述べていきます

詳しくは上記BLOGOS記事で読んでいただきたいのです
発端となった読売新聞の記事、わかりやすいホメオパシーの説明を行っている毎日新聞の記事、そして日本でホメオパシー療法を薦める日本ホメオパシー医学協会に詳細に取材を行った朝日新聞の記事と縦横無尽にリンク引用を行いすばらしい記事になっています

発端となった7月9日付けの読売新聞の記事

「ビタミンK与えず、自然療法の錠剤」乳児死亡で助産師を提訴…山口

 山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。
助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。母親(33)は助産師を相手取り、約5640万円の損害賠償訴訟を山口地裁に起こした。
母親らによると、女児は昨年8月3日に自宅で生まれ、母乳のみで育てたが、生後約1か月頃に嘔吐(おうと)し、山口県宇部市の病院でビタミンK欠乏性出血症と診断され、10月16日に呼吸不全で死亡した。
新生児や乳児は血液凝固を補助するビタミンKを十分生成できないことがあるため、厚労省は出生直後と生後1週間、同1か月の計3回、ビタミンKを経口投与するよう指針で促し、特に母乳で育てる場合は発症の危険が高いため投与は必須としている。
しかし、母親によると、助産師は最初の2回、ビタミンKを投与せずに錠剤を与え、母親にこれを伝えていなかった。3回目の時に「ビタミンKの代わりに(錠剤を)飲ませる」と説明したという。
助産師が所属する団体は「自らの力で治癒に導く自然療法」をうたい、錠剤について「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。適合すれば自然治癒力が揺り動かされ、体が良い方向へと向かう」と説明している。日本助産師会(東京)によると、助産師はビタミンKを投与しなかったことを認めているという。助産師は読売新聞の取材に対し、「今回のことは何も話せない。今は助産師の活動を自粛している」としている。
ビタミンK欠乏性出血症 血液凝固因子をつくるビタミンKが不足して頭蓋(ずがい)内や消化管に出血を起こす病気。母乳はビタミンKの含有量が少ない場合がある。   
2010年7月9日読売新聞より


この新聞記事には書かれていませんが助産師がビタミンKのかわりにレメディーと呼ばれるホメオパシー療法で用いられる錠剤との事です

この後、朝日新聞ならびに同新聞のネット記事等でで詳細な取材による追記がなされています

問われる真偽 ホメオパシー療法  気が遠くなるほど薄めた「毒」を飲むことで病気を治す、という欧州生まれの代替医療ホメオパシーが「害のない自然な療法」と日本でも女性層を中心に人気が高まりつつある。だが、この療法が公的医療の一角を占める英国は今年、議会委員会がその効果を全面否定、公的医療から外すよう政府に勧告した。日本でも裁判が起こされるなど、その効果を巡ってホメオパシーは批判対象にもなってきている。(長野剛) 2010年7月31日朝日新聞東京本社朝刊beより抜粋


「問われる真偽 ホメオパシー療法」
↑上記に序文を引用した朝日新聞apital掲載の記事へのリンクです
「apital ホメオパシー特集」
↑以降もかなり詳細な記事の掲載が続いています


これら朝日新聞の記事に対しては取材元である日本ホメオパシー医学協会からコメントが出されています
「日本ホメオパシー医学協会のコメント」




非常に残念な事件ですが、これは断じてホメオパシーのみに限った問題というわけではありません


自分も含めての話ですが代替医療に関わる者にとってもっとも怖いのは行き過ぎた自己肯定と他者否定だとおもうんです

誰しも自分が行っていることは正しいと思いたいものです
自分にしてもそうです
鍼も灸もあん摩も大好きです
すごく良いものだと思っています
だからこそ気をつけたいとも考えています

自己を肯定し他者を否定することは簡単です
治療と言う領域ならばもっと簡単です
自分が神であるかのように患者にふるまえばいいのですから

そうなってはならない、そうならない為にも我々代替医療に関わるものは学ばなければならないと思っています
自分で言えば鍼・灸・あん摩を
そして何より現代医学について学んでいかなければならないのだと思います

そして患者さんを前にしたら絶えず考えるんです
この患者さんに鍼・灸・あん摩の治療をしていいのか?
お医者さんに行って貰うべきではないのか?
その判断をした上で確信を持って治療するべきなんです

代替医療に関わる人間は誰よりも現代医学の知識に貪欲でなければならないと自分は考えています
他者を不幸にする“はだかのおうさま”にならないためにもです